【ポイント解説】次期学習指導要領改訂 教育課程企画特別部会「論点整理」で押さえておきたい7つの変化

こんにちは。


「次期学習指導要領の改訂」と聞いて、「また仕事が増えるのか…」とため息をついた先生。
ちょっと待ってください。今回の改訂は、これまでと様子が違います。

令和7年9月25日に公表された「教育課程企画特別部会 論点整理」
この100ページを超える資料を詳細に読み解くと、「先生の仕事を減らさなければ、教育の質は上がらない」という、国からの強烈なメッセージと、具体的な「減らすための武器」が提示されていることがわかります。

現場の悲鳴に応える「衝撃」の中身

小学校・中学校の「週28コマ」実現プラン

残業の元凶「通知表・評定」の大幅簡素化

高校教育の常識を覆す「148単位」への転換

この記事では、小・中・高すべての先生に関わる「働き方」「評価」「入試」の激変ポイントに加え、あまり知られていない「高校の単位制改革」まで、知らないと損をする7つの変化を、資料の根拠とともに徹底解説します。

今回は該当する資料の引用ページまで記載しています。こちらです↓

ポイント資料:詳細版 教育課程企画特別部会 論点整理 (令和7年9月25日)


目次

1. 【働き方】「週28コマ」へ!標準授業時数の弾力化と調整授業時数

全教員にとって最大の関心事である「働き方」。
今回の改訂では、国が定める「標準授業時数(例:小5で1015コマ)」の運用を劇的に変える「調整授業時数制度(仮称)」の導入が検討されています。

「1015コマ」の呪縛からの解放

これまで「1015コマ」は絶対に確保すべき聖域でしたが、新制度では以下のような柔軟な運用が可能になります。

  1. 時数の削減: 各教科の標準時数を下回る設定が可能になる(例:教科書の進度が早ければ授業数を減らす)。
  2. 余白の活用: 減らして浮いた時間を、「裁量的な時間」(探究学習、行事準備、補習など)や、先生方の「教材研究・研修」に充てる。
【週28コマ実現のロジック】

資料p.16, p.23より

資料では、現行制度の工夫だけでも「週28コマ」が実現可能という試算が示されています。

  • 総授業日数: 200日(40週)
  • 週当たり授業: 28コマ
  • 行事・欠課等: 年間約105コマ分(約3.5週分)をあらかじめ「授業しない時間」として計算
    • (始業式、成績処理、行事、学級閉鎖などを考慮)
  • 計算式: (40週 × 28コマ) – 105コマ ≒ 1015コマ

「時数が足りないから行事の前も授業」というカツカツの状態から脱却し、毎週の授業コマ数を減らす道筋が国から示されたことは大きな一歩です。


2. 【評価】通知表の評定が変わる!「主体性」評価の簡素化

毎学期末、先生方を苦しめる「通知表作成」。特に「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、膨大な記録が必要で大きな負担となっていました。これに対し、評価の在り方を根本から見直す案が示されています。

評価の激変ポイント:全員にABCをつけない?

観点現行改革案
知識・技能A/B/C評価A/B/C評価(継続)
思考・判断・表現A/B/C評価A/B/C評価(継続)
主体的に学習に取り組む態度全員にA/B/C評価簡素化を検討
(例:思考・判断・表現の観点に、特に良い場合のみ「〇」を付記する等)

「人間性」は評定しない方向へ

さらに、「学びに向かう力、人間性等」については、構成する4要素が整理されましたが、これらは数値による評定には馴染まないとされています。

【評価の見直しと「人間性」の扱い】

資料p.28, p.11より

  • 主体性評価の簡素化: 「〇」の付記など、負担の少ない方法を検討。
  • 人間性の扱い: 以下の4要素などは、評定(数値)には入れず、個人内評価として総合所見等で伝える方向。
    1. 学びを方向付ける人間性
    2. 学びの主体的な調整(メタ認知)
    3. 初発の思考や行動を起こす力・好奇心
    4. 他者との対話や協働

3. 【高校】「148単位」制へ!卒業要件と履修免除の大改革

高校の先生にとって、最も衝撃的なのがこの項目です。
「単位制の柔軟化」として、これまでの高校教育の構造(OS)を書き換える提案がなされています。

「半期認定」で留学や転編入に対応

  • 単位の定義変更:
    • 現行:通年(週1コマ×35週)=1単位 → 卒業要件 74単位
    • 改革案:半期(週1コマ×半期)=1単位 → 卒業要件 148単位

これにより、「セメスター制(前期・後期制)」のような柔軟なカリキュラムが組みやすくなります。

「減単」や「免除」でカリキュラムマネジメント加速

【単位制柔軟化の具体策】

資料p.17より

  • 減単・合体: 複数科目を一体的に指導する場合の減単が可能に。(例:科目AとBを合わせて教え、総授業時間を減らす)
  • 必履修科目の統合: 例:数学IIの中で数学Iの一部を扱う。
  • 履修免除: 外国語の外部試験で実力が証明されれば、履修免除や振り替えを認める。
  • 学校設定科目の拡充: 上限単位数を増やし、データサイエンス探究など独自科目を設定しやすくする。

4. 【入試】「網羅主義」からの脱却!教科書が終わらない悩みへの回答

「新しいことをやる余裕なんてない。教科書を終わらせるだけで精一杯だ」
そんな現場の悲鳴に対し、今回は「入試改革」とセットでの解決策が提示されています。

「教科書を教える」から「教科書で教える」へ

  • 入試の改善: 「教科書の細かい知識を網羅的に問う」入試から脱却し、「教科書を全て教えなければならない」というプレッシャー(網羅主義)をなくす
  • 教科書の精選: 教科書の内容自体も「重点化・精選」し、探究学習や余白に時間を割けるようにする。
【入試と教科書の在り方】

資料p.25より
【入試と教科書の在り方】

  • 入試改革を進め、学習指導や教科書の改善を実効性あるものにする。
  • 高校入試の改善により、教育課程実施に伴う教師・生徒の負担を軽減する。

「進路のために詰め込まなければならない」という構造が変われば、中学校や高校の授業スタイルも「探究重視」へと大きく舵を切ることができます。


5. 【支援】不登校・特異な才能に対応!「2階建て」の教育課程

35人学級の中には、多様な子供たちがいます。
資料では、現在の学級の「リアルな内訳」の推計値が示され、画一的な指導の限界が指摘されました。

「1階(共通)」+「2階(個別)」の複層構造へ

全員共通のカリキュラム(1階部分)に加え、個別のニーズに応じる「特例的な教育課程(2階部分)」を組み合わせる「複層的な教育課程」が提案されています。

【多様な子供たちの実態(小35人学級の推計)】

資料p.15, p.18より

  • 学習・行動面の困難:約3.6人
  • 不登校傾向:約4.1人
  • 特異な才能:約0.8人

【2階建てカリキュラムの例】

  • 不登校: 校内外の教育支援センター等での学習を、正規の教育課程として位置づけ。
  • 特異な才能: 特定分野だけ高度な内容を学ぶ「飛び級」的な学習を保障。

6. 【新教科】中学に「情報・技術科」新設!プログラミング教育の体系化

GIGAスクール構想、生成AIの登場を受け、情報教育が「教科」として格上げされる可能性があります。

4分野で構成される新教科案

現在の「技術・家庭科(技術分野)」と「情報教育」を統合・再編し、以下の4分野で構成する案が出ています。

  1. A 材料と加工の技術
  2. B 生物育成の技術
  3. C エネルギー変換の技術
  4. D 情報の技術(情報メディアの特徴、プログラミングによる問題解決等)
【小中高の体系化】

資料p.20より

  • 小学校: 「情報の領域(仮称)」の新設を検討。
  • 中学校: 「情報・技術科(仮称)」の導入を検討。
  • 高校: 「情報科」の内容充実。

7. 【DX】学習指導要領のデジタル化!AI活用で授業づくりが変わる

最後に、先生方の「教材研究」を劇的に楽にする改革です。
次期学習指導要領は、紙の冊子ではなく「デジタルデータ」としての活用が前提になります。

AIに「指導要領」を読み込ませる時代へ

  • 構造化: 「知識」と「思考力」のつながりが表形式で可視化される。
  • AI活用: デジタル化された指導要領をAIに読み込ませれば、「単元計画」「評価規準」「指導案」の作成アシストが容易になります。
【構造化・デジタル化のメリット】

資料p.8-9, p.10より

  • 「知識・技能」と「思考・判断・表現」の縦横のつながりが表形式で見える化される。
  • 検索性が向上し、教科書や指導書とのリンクも容易になる。
  • 「指導要領のどこに書いてあるか探すだけで1時間」……そんな非効率な作業は過去のものに。

今すぐできる「余白」の創出へ!強力な味方をご紹介

今回の論点整理の最大のメッセージは、「先生と子供に余白を」です。
しかし、国の制度が変わるのを待っていては、明日の授業準備も、来月の通知表作成も間に合いません。

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まとめ

結論
次期学習指導要領の改訂は、これまでの「追加・修正」レベルを超えた、学校教育のOSアップデートと言えます。

特に「調整授業時数による働き方改革」「評価の簡素化」は、実現すれば現場の風景をガラリと変えるでしょう。
これからの動向を注視しつつ、便利なツールや新しい仕組みは積極的に取り入れ、先生自身が心身ともに健康でいられる「余白」を守っていきましょう。


参考資料

ポイント資料:詳細版 教育課程企画特別部会 論点整理 (令和7年9月25日)

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この記事を書いた人

▶︎元中学校の先生
▶︎Excel、、スプレッドシート、Notionが大好き
▶︎教員向けの業務効率化アイテム開発者

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